プロジェクトストーリー /
ユニバーサルサービス
Case03グローバル基準の
ユニバーサルリゾートを目指す
プロジェクトメンバー
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株式会社スマイルリゾート
執行役員八木 達也
2011年入社
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株式会社スマイルリゾート
アウトドア&
ユニバーサルマネージャー稲治 大介
2017年入社
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株式会社ホスピタリティ
コミュニケーションズ
営業部 WEBマネージャー内田 晃司
2018年入社
できることは自分でやるからこそ
自立に繋がる
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稲治
私は障がい者専門のスキースク―ル「障がい者スキースクール・ネージュ」でマネージャーをしています。
ただ、障がい者専門という言い方をしていますが、正直特別なことをしているという感覚はありません。
私はただスキーが好きでスキーの楽しさを障がいのあるなし関係なく伝えていくことが私の仕事です。 -
八木
全盲の方がスキーに来られた際も稲治さんは良い意味でコミュニケーションを分けていないですよね。
例えばあれができない、これができないというのは誰でもあるわけで、たまたまその方は目が見えないだけという捉え方をしていますよね。
人間と人間のやり取りを愚直にやっている感じです。 -
内田
私はWEBサイトの制作を行っていて、障がいのある方となかなかリアルに接することはないのですが、今の話を聞いて考えさせられる部分がありました。
障がいのある方に対してどういうコミュニケーションを意識されているのですか? -
稲治
私たちは障がいがある方がやりたいと思うことに対して、全てをやってあげるということはしないです。
あくまでやりたいことを自分でできるようにサポートするのが私たちの仕事です。簡単に言うと、全盲の方の目にはなるけれど、手にはならない。
自分でできることは自分でやる。その人の持っている能力を最大限引き出すにはどうしたらいいのかという考え方を貫いています。
スキーは手段であって、
目的は自分の持っている
能力に気付き、できることを
ちゃんと理解してもらうこと
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稲治
これは接客業をやる上で重要なことだと思いますが、障がいのある方に対して相手ができないと決めつけてコミュニケーションを取ると信頼関係を築けないんですよ。
できないのではなく、どうしたらできるんだろうと考えを逆にすれば良いんです。実はできる方法や道具がない、知らない、工夫が足りないだけなんです。私たちは、少しだけそれを知っている。ただ、それをお伝えしているだけです。 -
内田
それは社会生活においても大事ですよね。
スキーに限らず、何事においても知らないからできないと判断してしまうことがあって、相手をちゃんと知れば、実はできることがたくさんあるケースもありますね。 -
稲治
こんなことを言うのもなんですが、スキーが合わなかったということもあるので極論スキーをやめてもいいんですよ。
ただ、その方にとってスキーを経験する過程で、「自分にはできることがたくさんあるんだ!」ということを感じてもらって、日常生活をよりポジティブに、充実した生活にしてもらいたいし、ご両親や周りの方々も、ご本人を信じてやってみるという選択を取ってもらえたらうれしいと思っています。 -
八木
ホテルのサービスとは少し違うかもしれないですが、障がいを持っている子ととことん向き合って対等に接する。
そしてご両親にもそのやり取りで何かを感じ取って帰ってもらう。コミュニケーションは対等にしていますけど、ちゃんと一人ひとりのカルテを作って何が好きか、何ができて何ができないかを客観的に把握してチーム全体で共有して向き合うことがネージュの特徴ですね。 -
稲治
そのカルテに書いている情報は結構重要で、私たちがコミュニケーションを取る上で伝え方や判断したりする時に役立てていますね。
ハード面よりソフト面が
とても大事
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八木
障がい者支援という言い方もされますけど、本当はユニバーサルリゾートだと私たちは考えています。
例えば、ご家族に障がいのある方がいてスキーをしたいと言ってもなかなかできる場所は少ないんですよ。
でも私たちの施設に来てもらえると家族全員で楽しんでもらえることができます。 -
内田
私たちの「おもてなしで人々を笑顔にします」という基本理念はお客様と相対している時だけではありません。
ネージュのような組織があることによってご家族の選択肢を増やし、これまでできなかったことを経験して笑顔になっていただける。そこに私たちの価値があると思っています。 -
稲治
お客様にとっても価値があるように思っていただきたいですが、実は私たちにとっても価値があります。
レストランやスキー場に車椅子の方が来られるとなったら色々と考えるじゃないですか。
どうしたら車椅子の方に快適に過ごしてもらえるだろうって。それって私たちにとって重要な資産なんですよね。
車椅子の方が何に困っているかをきちんと観察してイメージができないとおもてなしすることは難しいんですよ。
そしてそれをグループ全体にフィードバックする。そうするとグループ全体のおもてなしの幅が広がっていくわけです。 -
八木
ちょうど施設でトイレの改修をしているのですが、スキー場のトイレって狭いんです。
本来多くの人が使えるように個室の数を多く作るのですが、車椅子の方だと入りにくい問題が出てきますし、段差があったりしたらそもそもトイレに入れない状況になってしまいます。
ただ、私たちは全ての人が快適に過ごせるようにユニバーサルなトイレを今作っています。
その考え方がグループに広がればユニバーサルリゾートの標準化にも繋がっていけると思っています。 -
内田
先日、舞子の施設に行った時に車椅子の、あるスポーツの日本代表が合宿に来ていて、「うちって車椅子の方にとって過ごしやすいホテルなんだな」と実感しました。それはとても嬉しかったですね。
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稲治
バリアフリーと聞くとスロープや車椅子で入れるトイレなどのハード面ばかりに目がいきがちなんですが、そこで働くスタッフなどソフト面の方が大事なんです。
もしハード面に問題があったとしてもスタッフの誰かが気付いてサポート出来たら目的は達成されるじゃないですか。
一番ダメなのはハード面を作り込んで誰も声をかけたりしないことです。
日本で誰もが楽しめる場所を
私たちから作っていく
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内田
ある団体が難病の子どもたちを招待していろんなことを経験してもらうという企画をやっていて、いろんな場所で展開されているのですが、難病の子に雪を見せてあげたいということで毎年舞子スノーリゾートに来てくださっているそうですね。
それって難病の方にとっても過ごしやすいと思っていただけているということですよね。どういう苦労がありましたか? -
稲治
身体的に気をつけなければならない事項など、できるだけ細やかにヒアリングします。酸素を24時間吸入しなければならない子や持病の関係で体力がとても弱い子などもいますし、ホテルの中でも事前に色々な準備を行いました。
ただ、先ほども言ったようにその経験が私たちの資産になるんです。スタッフがどうやって声をかけていいかとか何を手伝ったらいいのかを自分たちで考えるきっかけになっているんですよ。
そこから団体関係なく家族で旅行に来てくださる方も増えているので、とてもありがたいことですよ。 -
八木
海外だと子どもも大人も障がいのある方も全て一緒になっているリゾート施設もあります。ですが、日本はまだそうではない。
分けることが当たり前になってしまうと、みんなが一緒に遊んだり学んだりする場は減っていってしまう。
だからHPGとして誰もが一緒に遊べる場を提供していきたいと考えています。 -
内田
私は、日本中でスキーをしたいのにできる所がないと悲しんでいる方々に向けて、サービスを見つけてもらえるように、そしてわかりやすいコミュニケーションを通じてHPGの魅力を感じてもらえるよう精一杯努めて参ります。